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松江地方裁判所 昭和27年(行モ)1号 決定

申立人は、被申立人等に対し、被申立人鳥井村長宮脇常三郎が昭和二十七年六月二十四日なした同村議会を解散する旨の行政処分及びこれに基き被申立人鳥井村選挙管理委員会が同年七月五日附告示により同月二十五日施行すべき同村議会議員の一般選挙の各執行は、いずれも当庁昭和二十七年(行)第二号村議会解散無効確認請求事件の本案判決が確定するまでこれを停止すべきことを命ずる裁判を求める旨の申立をなした。

当事者双方提出の疏明によれば、申立人が島根県安濃郡鳥井村議会議員であること、被申立人鳥井村長宮脇常三郎が昭和二十七年六月二十四日午後八年三十分同村議会の臨時会を同村役場に招集し、急施を要する事件として(一)鳥井村久手町境界変更について、(二)中学校生徒の一部を久手町中学校に委託するについて、(三)鳥井村中学校建設についての三件を直ちに同議会に付議したこと、しかるに同議会が右の各議題はいずれも同村にとつて重大案件であつて慎重に研究調査すべきものであり、急速且つ深夜議決すべきものではないというわけで審議未了の議決をなしたこと、その際同村長は同村長に対する不信任議決がなされたものであるとして同日同村議会を解散したこと、そこで、被申立人鳥井村選挙管理委員会が同年七月五日附を以て同月二十五日を期し右解散に伴う同村議会議員の一般選挙を行う旨の告示をなしたことを疏明でき、申立人が同年七月八日同村長を相手方として前記の村議会解散無効確認請求訴訟を当裁判所に提起し、その訴訟が当庁昭和二十七年(行)第二号事件として現に係属中であることは当裁判所に顕著な事実である。

申立人は、右解散処分が当然無効であつて、右選挙の結果申立人は償うことのできない損害を被るおそれがあると主張するけれども、その主張の通り右解散処分が当然無効であるとするならば、右選挙は、これを行うべき前提がないのに執行せられたこととなつて、当然無効となるのであるから、申立人は、初めから村会議員たる地位を失わなかつたこととなり、右解散処分及び選挙の執行により償うことのできない損害を被るものとは解せられない。もつとも、本案訴訟において右解散処分の当然無効であることが確定せられるまでの間は、右選挙により選出せられた新村会議員によつて村会の権限が行使せられ、申立人等旧村会議員は、その職務を行うことができないわけであるが、新村会も村民の選挙により選出せられた村会議員により構成せられ村民の意思を代表するものである以上、新村会がその権限を行うことによつて申立人を含む鳥井村村民が償うことのできない損害を被るものと解することはできない。更に、申立人が村民の支持を受けているならば、申立人は、右選挙に立候補して新村会議員となり、右解散及び選挙の無効が確定するまでの間、新村会においてその職務を行う機会があつたわけである。

従つて、本件申立は理由がないからこれを却下し、申立費用の負担につき民事訴訟法第八十九条、第九十五条を適用して主文の通り決定する。

(裁判官 松本冬樹 阿座上遜 浜田治)

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